第11章 身体の運動


1.骨格筋の神経支配

(1)運動単位とα運動ニューロン

 @α運動ニューロン…脳幹や脊髄の前角から始まり、骨格筋(錘外筋)を支配する。

 A運動単位…1本の運動ニューロンとそれに支配される筋線維群

 B神経支配比…細かい運動に関与する筋では比は小さく、大まかな運動に関与する筋では比は大きい。

(2)神経筋伝達(神経筋接合部・終板)

  ◎運動神経末端と骨格筋との間はシナプスを形成する。

  ◎伝達物質はアセチルコリンである。

  ◎典型的な興奮性シナプスで、クラーレにより遮断される。

2.脊髄レベルの運動調節

(1)伸張反射(腱反射)

 @経路

  ◎腱の叩打→筋の伸展→筋紡錘伸展→Ta線維→反射中枢→α運動ニューロン→同名筋(錐外筋線維)の収縮

 A特徴

  ◎固有反射、単シナプス反射である。

  ◎伸張反射以外はすべて多シナプス反射である。

 B筋紡錘

  ◎短くて細い錘内筋線維が被膜に包まれたもの。

  ◎求心性線維はTa線維、遠心性線維はγ運動ニューロンである。

  ◎筋の伸展により興奮し、筋を一定の長さに保つ。

 C腱紡錘

  ◎求心性線維はTb線維、遠心性線維はない。

  ◎筋の収縮に伴い腱が伸展した時に興奮する。

(2)屈曲反射(屈筋反射・引っ込め反射・逃避反射)

  ◎四肢の皮膚や筋などを強く刺激すると、屈筋が収縮して刺激から逃避する。

(3)交叉性伸展反射

  ◎屈曲反射の際に、反対側の肢が伸展する。

(4)皮膚反射

  ◎伸筋突伸、腹壁反射、挙睾筋反射、横隔膜反射

(5)長脊髄反射

  ◎四肢間反射、引っかき反射

3.脳幹の運動調節

(1)脳神経を遠心路とする反射…眼瞼反射、開口反射、咬筋反射、嚥下反射、咳やくしゃみ反射、前庭−眼反射

(2)橋と延髄に中枢があるもの

 除脳固縮(γ固縮)、緊張性頚反射、緊張性迷路反射

(3)中脳に中枢があるもの

  ◎立ち直り反射

4.錐体路と錐体外路

(1)錐体路

  ◎随意運動の経路で、皮質延髄路と皮質脊髄路がある。

(2)錐体外路

  ◎無意識的な運動に関する経路で、姿勢の制御や円滑な随意運動を行うのに重要である。

  ◎皮質赤核路、皮質網様体路、赤核脊髄路、網様体脊髄路などがある。

(付)発声と言語

  ◎声の高さは声帯の振動数、声の大きさは振幅によって決まる。


インデックスに戻る