第12章 感覚


第1節 感覚の一般

1.2点弁別閾

  ◎触圧点の密度が高い部位では2点弁別閾は低い。

  ◎2点弁別閾の低い部位…舌、口唇、指先など

2.ウェーバーの法則

  ◎重さの場合、3%の差があれば弁別できる。

第2節 体性感覚

1.皮膚感覚

  ◎種類…触圧覚、温覚、冷覚、痛覚

  [感覚点の数](1cm2当り)

  ◎痛点…100〜200

 触圧点…25

  ◎冷点…10〜25

  ◎温点…0〜3

(1)触圧覚

 @受容器

  ◎メルケル盤、ルフィニ小体…順応が遅く、強度検出器として働く。

  ◎マイスナー小体、毛包受容器…順応が速く、速度検出器として働く。

  ◎パチニ小体…最も順応が速く、振動覚の受容器として働く。

 A求心性神経…Aβ線維

(2)温度感覚

 @受容器…温受容器も冷受容器も自由神経終末である。

 A求心性神経…Aδ線維、C線維

 B無感温度…温覚も冷覚も起こらない温度で、33℃前後である。

 C矛盾冷覚…45℃を越えると、冷覚と痛覚を感じる。

(3)痛覚

 @受容器…自由神経終末

 ア.高閾値機械受容器…Aδ線維の末端にある。

 イ.ポリモーダル受容器…C線維の末端にある。

 A痛覚の種類

 ア.一次痛(刺すような痛み、鋭い痛み、速い痛み)

  ◎刺激部位が明瞭で、受容器は高閾値機械受容器である。

 イ.二次痛(うずくような痛み、灼熱痛、鈍い痛み、遅い痛み)

  ◎刺激部位が不明瞭で、受容器はポリモーダル受容器である。

 B発痛物質

  ◎プロスタグランジン、セロトニン、ヒスタミン、水素イオン、カリウムイオン

 C脊髄内伝導路

  ◎反対側の側索(外側脊髄視床路)を上行する。

 D内因性鎮痛物質(オピオイドペプチド・モルヒネ様物質)

  ◎エンドルフィンやエンケファリンなどがある。

(4)くすぐったい感じとかゆい感じ

 @くすぐったい感じは触覚の一種である。

 Aかゆい感じは痛覚の軽いものであり、ヒスタミンが原因と考えられている。

2.深部感覚

  ◎受容器…筋紡錘、腱紡錘、ルフィニ小体、パチニ小体

  ◎深部痛覚…局在性が不明瞭な持続的な鈍痛で、内臓痛に似ている(筋肉痛・頭痛など)。

第3節 内臓感覚

1.臓器感覚

  ◎空腹感、のどの渇き、便意、尿意、性感などがある。

2.内臓痛覚

  ◎深部痛覚と似ており、局在性の不明瞭な持続性のうずくような痛みで、吐き気を伴うことが多い。

(1)原因

 @腸間膜の伸展や痙縮

 A充血や虚血などによる発痛物質の出現

 ※腹部内臓は切ったり熱を加えたりしても痛覚は起こらない。

(2)受容器と求心性神経

  ◎受容器は自由神経終末、求心性神経は内臓求心性神経である。

第4節 特殊感覚

1.味覚

(1)基本味覚と感覚部位

  ◎甘味…舌尖部

  ◎酸味…舌の外側部

  ◎苦味…舌根部

  ◎塩味…舌尖と舌縁部

(2)味覚受容器

  ◎受容器は味蕾中の味細胞である。

(3)支配神経

  ◎舌の前2/3は顔面神経、舌の後ろ1/3は舌咽神経により伝えられる。

2.嗅覚

  ◎順応が起こりやすい。

  ◎受容器は嗅上皮の嗅細胞である。

3.聴覚

(1)聴覚の一般的性質

 @音の高さは周波数で決まる。

 A音の強さは振幅で決まる。

(2)聴覚器の構造と機能

 @音波が受容器に至る経路

  ◎外耳→鼓膜→中耳(耳小骨)→内耳のコルチ器官の有毛細胞

 A各部の機能

  ◎耳小骨にはツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つがある。

  ◎振動は耳小骨で約20倍に増幅される。

(3)伝導路

  ◎有毛細胞→蝸牛神経→延髄→視床(内側膝状体)→側頭葉の聴覚野

4.平衡感覚

(1)受容器

  ◎前庭器官(球形嚢、卵形嚢、三半規管)

 @球形嚢と卵形嚢には平衡砂(耳石)があり、直線運動を感じる。

 A半規管の膨大部稜では回転運動を感じる。

5.視覚

(1)視覚の一般的性質

 @遠近調節

  ◎近くを見る時は毛様体筋が収縮し、水晶体の厚みが増加する。

  ◎遠くを見る時は毛様体筋が弛緩し、水晶体の厚みが減少する。

  ◎毛様体筋は動眼神経中の副交感神経によって支配される。

  ◎近視…網膜より前に結像し、凹レンズにより矯正する。

  ◎遠視…網膜より後ろに結像し、凸レンズにより矯正する。

  ◎正乱視…角膜の弯曲異常で、円柱レンズにより矯正する。

  ◎不正乱視…角膜の表面に凹凸があり、コンタクトレンズにより矯正する。

 A明るさ調節

 ア.明るい時は瞳孔が縮小する(瞳孔括約筋の収縮)。

 イ.薄暗い時は瞳孔が散大する(瞳孔散大筋の収縮)。

 ウ.暗順応

  ◎杆状体細胞で起こり、20〜30分で一定となる。

 B色の感覚

  ◎光の3原色…赤、緑、青

  ◎網膜の中心窩には錐状体細胞が密集し、色を感じる。

  ◎周辺部には杆状体細胞があり、明暗を感じる。

 C視野

  ◎鼻側…60°

  ◎耳側…104°

  ◎上方…60°

  ◎下方…70°

  ◎盲斑(盲点)…中心点から外方15°の部で、視神経乳頭部に対応する。

(2)網膜の構造と機能

  ◎網膜は外側から視細胞層、内顆粒層、神経節細胞層の3層からなる。

 @視細胞層

 ア.錐状体細胞…明るい所で働き、色を感じる。

 イ.杆状体細胞…ロドプシンを含み、明暗を感じる。

 A内顆粒層

  ◎双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞の3つがある。

 B神経節細胞

  ◎視神経線維は視神経乳頭部から視神経となって出る。

(3)伝導路

  ◎視神経は視交叉(半交叉)を経て、視床(外側膝状体)から後頭葉の視覚野に達する。


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