第6章 排泄


1.腎臓の働き

 @水分量を調節し、体液量を一定に保つ。

 A電解質量を調節し、浸透圧を一定に保つ。

 B水素イオン量を調節し、pHを一定に保つ。

 C不要物質を除去し、有用物質を保持する。

2.腎臓の構造

  ◎尿路…ネフロン→腎盂→尿管→膀胱→尿道

  ◎ネフロンは腎小体と尿細管からなる。

  ◎腎小体は糸球体とボーマン嚢からなる。

  ◎血液は糸球体で濾過され原尿となり、尿細管で再吸収と分泌が行われ尿となる。

3.腎循環

(1)腎血流量

  ◎糸球体に流入する血液量で、1.2リットル/分である。

(2)腎血漿流量

  ◎腎臓に流入する血漿量で、600ml/分である。

(3)糸球体濾過量

  ◎125ml/分である。

  ◎腎血漿流量の20%で、180リットル/日である。

4.糸球体における濾過

(1)濾過のしくみ

  ◎有効濾過圧=糸球体血圧−血漿膠質浸透圧−ボーマン嚢内圧

 (10mmHg = 45mmHg − 25mmHg − 10mmHg)

(2)濾過されないもの

  ◎血球、血漿蛋白、脂肪球

(3)濾過されるもの

  ◎水、電解質、尿素、ブドウ糖、クレアチニン、アミノ酸

5.尿細管における再吸収と分泌

(1)尿細管の区分

  ◎近位尿細管→ヘンレループ→遠位尿細管→集合管

(2)再吸収される物質(有用物質)

  ◎水、ナトリウムイオン、塩素イオン、重炭酸イオン、ブドウ糖、アミノ酸

(3)分泌される物質(不要物質)

  ◎pHの調節に関連してアンモニア、カリウムイオン、水素イオンが分泌される。

  ◎代謝産物としてクレアチニン、尿素が分泌される。

  ◎外来性物質としてパラアミノ馬尿酸が分泌される。

(4)水の再吸収

  ◎濾液(原尿)の99%が再吸収される。

  ◎60〜70%は近位尿細管で、残りは遠位尿細管と集合管で再吸収される。

  ◎バゾプレッシン…集合管における水の再吸収を促進する。

  ◎アルドステロン…遠位尿細管におけるナトリウムイオンの再吸収を促進する。

(5)ブドウ糖の再吸収

  ◎ブドウ糖は近位尿細管で100%近く再吸収される。

6.種々の物質のクリアランス

(1)濾過のみ行われ、再吸収も分泌も行われない物質

  ◎糸球体濾過量に等しい(イヌリン)。

(2)濾過と分泌が行われる物質

  ◎腎血漿流量に等しい(パラアミノ馬尿酸)。

(3)濾過と等しい量の再吸収が行われる物質

  ◎0になる(ブドウ糖)。

7.尿の組成

  ◎尿素、尿酸などの窒素代謝産物を含む。

  ◎環境により組成は大きく変化する。

8.膀胱と排尿

(1)膀胱と尿道の支配神経

  ◎交感神経(下腹神経)は排尿筋を弛緩し、内尿道括約筋を収縮し、蓄尿に働く。

  ◎副交感神経(骨盤神経)は排尿筋を収縮し、内尿道括約筋を弛緩し、排尿促進に働く。

  ◎外尿道括約筋は体性神経(陰部神経)に支配され、収縮は随意的に行われる。

(2)蓄尿・排尿反射

  ◎蓄尿中枢…腰仙髄にある。

  ◎排尿促進中枢…橋にある。

  ◎尿意…膀胱内の尿量が150〜300mlになると感じる。

  ◎排尿…膀胱内の尿量が400mlになると、尿意を強く感じる。


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