第7章 内分泌


1.ホルモンの種類と働き

(1)内分泌腺の部位

 @頭部…視床下部、下垂体、松果体

 A頚部…甲状腺、副甲状腺(上皮小体)

 B腹部…副腎(皮質・髄質)、膵臓、卵巣、精巣、腎臓、消化管ホルモン

(2)化学構造によるホルモンの型

 @ステロイド型…性ホルモン、副腎皮質ホルモン

 Aアミン型…副腎髄質ホルモン、甲状腺ホルモン

 Bポリペプチド型…その他

(3)ホルモン分泌の調節

 @階層的支配

  ◎視床下部→下垂体前葉→副腎皮質、甲状腺、性腺などのホルモン分泌を調節する。

 A負のフィードバック

  ◎下位のホルモンが視床下部や下垂体前葉のホルモン分泌を抑制する。

2.各種内分泌腺

(1)視床下部

 @下垂体前葉に対して

  ◎下垂体門脈を通り、以下のホルモンを分泌する。

 ア.成長ホルモン放出ホルモンおよび抑制ホルモン

 イ.プロラクチン放出ホルモンおよび抑制ホルモン

 ウ.甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン

 エ.副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン

 オ.性腺刺激ホルモン放出ホルモン

 A下垂体中葉に対して

  ◎下垂体門脈を通り、メラニン細胞刺激ホルモン放出ホルモンおよび抑制ホルモンを分泌する。

 B下垂体後葉に対して

  ◎視床下部でバゾプレッシンとオキシトシンを産生し、軸索を通り下垂体後葉に送る。

(2)下垂体

  ◎下垂体は腺下垂体(前葉・中葉)と神経下垂体(後葉)からなる。

 @前葉ホルモン

 ア.成長ホルモン

  ◎発育期の成長促進(骨形成・蛋白合成・血糖上昇)

 イ.プロラクチン…乳汁の分泌促進・排卵抑制

ウ.甲状腺刺激ホルモン…甲状腺ホルモン分泌促進

 エ.副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)…副腎皮質ホルモン分泌促進

 オ.性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)

 a.卵胞刺激ホルモン…エストロゲンの分泌促進

b.黄体形成ホルモン…排卵誘発とプロゲステロン分泌促進

 A中葉ホルモン…メラニン細胞刺激ホルモン

 B後葉ホルモン

 ア.バゾプレッシン(抗利尿ホルモン)…腎臓の集合管における水の再吸収促進

 イ.オキシトシン…子宮筋の収縮・射乳反射

(注)下垂体の機能異常

 @前葉の機能低下…小人症

 A後葉の機能低下…尿崩症

 B機能亢進…巨人症、末端肥大症

(3)甲状腺

  ◎濾胞細胞…サイロキシンとトリヨードサイロニンを分泌する。

  ◎傍濾胞細胞…カルシトニンを分泌する。

 @サイロキシンの作用

  ◎代謝亢進、体温上昇、血糖上昇、発育促進、精神機能刺激

(注)機能異常

  ◎機能低下…クレチン病、粘液水腫

  ◎機能亢進…バセドウ病

 Aカルシトニン…血中カルシウムイオン濃度低下

(4)副甲状腺(上皮小体)

  ◎パラソルモン…血中カルシウムイオン濃度上昇

(注)機能異常

 @機能低下…テタニー

 A機能亢進…骨粗鬆症

(5)膵臓

  ◎ランゲルハンス島

  ◎α細胞…グルカゴンを分泌する。

  ◎β細胞…インスリンを分泌する。

  ◎δ細胞…ソマトスタチンを分泌する。

 @インスリンの作用

  ◎血糖低下(細胞のブドウ糖取込み促進、グリコーゲン合成促進)

  ◎蛋白質、脂質の合成促進

(注)機能低下…糖尿病

 Aグルカゴンの作用…血糖上昇(グリコーゲンの分解促進)

 Bソマトスタチンの作用…インスリンやグルカゴンの分泌抑制

(6)副腎

 @副腎髄質ホルモン(カテコールアミン)

  ◎アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンが分泌される。

 a.アドレナリンの作用

  ◎心拍出量増加、血糖上昇、気管支拡張、基礎代謝亢進、中枢神経刺激

 b.ノルアドレナリンの作用

  ◎末梢血管を収縮し血圧を上昇、基礎代謝亢進、中枢神経刺激

(注)機能亢進…褐色細胞腫

 A副腎皮質ホルモン

  ◎電解質コルチコイド、糖質コルチコイド、副腎アンドロゲンが分泌される。

 ア.糖質コルチコイド(コルチゾール・コルチコステロン)の作用

  ◎血糖上昇、抗炎症、抗アレルギー、抗ショック作用、胃酸やペプシン分泌促進、粘液分泌抑制

 イ.電解質コルチコイド(アルドステロン)の作用

  ◎腎臓の遠位尿細管におけるナトリウムイオンの再吸収促進

 ウ.副腎アンドロゲン(男性ホルモン)

(注)機能異常

 @機能低下…アジソン病

 A機能亢進

  ◎糖質コルチコイド…クッシング症候群

  ◎電解質コルチコイド…コン症候群(原発性アルドステロン症)

  ◎副腎アンドロゲン…副腎性器症候群

(7)精巣

  ◎テストステロン…精巣の間細胞(ライディッヒ細胞)から分泌される。

(8)卵巣

  ◎卵胞からエストロゲン、黄体からプロゲステロンが分泌される。

  ◎排卵後、赤体を経て黄体が形成される。

 @卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用

  ◎卵胞の発育促進、子宮粘膜の増殖期形成

 A黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用

  ◎受精卵の着床と妊娠の維持、排卵抑制、体温上昇、子宮粘膜の分泌期形成


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